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大学生活で学費以外にいくらかかる?卒業までに見込むべき教育費の実態

Tags: 教育費, 大学費用, 学費以外, 学生生活費, 教育資金計画

大学進学で気になる学費以外の費用負担

お子様の大学進学を控える時期、最大の関心事は入学金や授業料といった「学費」に関することかもしれません。しかし、大学生活には学費以外にも様々な費用が発生し、これらを計画に含めることが教育資金準備において非常に重要となります。特に自宅外から通学する場合、生活費を含めると負担額は大きく増加します。

この記事では、大学入学後に学費以外でどのような費用がかかるのか、その目安はどのくらいか、そしてそれらにどう備えるべきかについて、具体的な情報に基づき解説します。

学費以外にかかる主な費用とその内訳

大学生活で発生する学費以外の費用は多岐にわたります。主な項目は以下の通りです。

これらの費用は、学費のように金額が固定されているわけではなく、学生本人の生活スタイルや選択によって変動します。

学費以外の費用目安(自宅通学・自宅外通学)

学費以外の費用がどのくらいかかるかは、文部科学省などが実施している調査結果から目安を知ることができます。例えば、日本学生支援機構(JASSO)の「学生生活調査」などでは、学生の年間収入や支出に関する詳細なデータが示されています。

直近の調査結果(令和2年度学生生活調査)によると、大学生(昼間部)の年間支出額の平均は以下のようになっています。

| 支出項目 | 自宅通学 (平均) | 自宅外通学 (平均) | | :---------------- | :-------------- | :---------------- | | 食費 | 約30.5万円 | 約41.9万円 | | 住居・光熱費 | 約5.5万円 | 約43.2万円 | | 保健衛生費 | 約2.8万円 | 約3.3万円 | | 交通費 | 約5.5万円 | 約4.7万円 | | 教養・娯楽費 | 約8.5万円 | 約9.8万円 | | 書籍購入費 | 約2.3万円 | 約2.5万円 | | 勉学・研究費 | 約4.6万円 | 約5.6万円 | | 通信費 | 約4.4万円 | 約4.5万円 | | その他(日常費等)| 約7.5万円 | 約10.0万円 | | 合計 | 約71.6万円 | 約125.5万円 | (注)上記の金額は平均値であり、個別の状況によって大きく異なります。また、この合計金額には授業料や入学金は含まれていません。

このデータから、自宅通学であっても学費以外に年間70万円程度の費用がかかっていることがわかります。自宅外通学の場合は、住居費や食費、その他生活費が増加するため、年間125万円以上と、学費を上回る可能性のある金額が必要となります。

大学4年間で考えれば、自宅通学でも約280万円、自宅外通学なら約500万円といったまとまった金額が学費とは別に必要になる可能性があることを理解しておく必要があります。

学費以外の費用への備え方・対策

これらの学費以外の費用に対し、どのように備え、負担を軽減していくかが教育資金計画の重要なポイントとなります。

  1. 早期からの計画と貯蓄:
    • 学費だけでなく、これらの学費以外の費用も見込んだ上で、教育資金全体の目標額を設定することが出発点です。目標額に対し、いつまでにいくら貯める必要があるかを明確にし、計画的に貯蓄を進めることが基本となります。
  2. 収入と支出の見込みを立てる:
    • 大学入学後の生活費を具体的にシミュレーションします。奨学金(特に生活費として支給されるもの)、アルバイト収入、保護者からの仕送りなどを収入として見込み、それに対して発生しうる支出(家賃、食費、交通費、通信費など)をリストアップします。これにより、資金が不足する可能性があるのか、どの項目で支出が多くなる傾向があるのかを把握できます。
  3. 具体的な節約を実行する:
    • 学生本人と話し合い、具体的な節約目標を設定します。例えば、食費であれば自炊を増やす、交通費であれば定期券を活用する、教材費であれば先輩から譲ってもらう、中古で購入するなどの工夫が考えられます。課外活動費なども、優先順位をつけて必要なものに絞ることで支出を抑えることができます。
  4. 利用可能な制度や情報を活用する:
    • 奨学金: 授業料だけでなく、生活費として利用できる奨学金制度もあります。返済が必要な貸与型だけでなく、返済不要の給付型奨学金も対象になるか確認します。
    • 教育ローン: 学費だけでなく、教材費や下宿費用など、修学に必要と認められる費用全般に利用できる教育ローンもあります。国の教育ローンや民間の教育ローンの条件を比較検討することが重要です。
    • 大学独自の支援制度: 大学によっては、経済的な理由で修学が困難な学生に対し、独自の奨学金制度や授業料減免制度、生活支援制度などを設けている場合があります。入学後に大学の学生課などに問い合わせ、利用できる制度がないか確認します。
    • 自治体の支援制度: 住んでいる自治体が、教育に関する独自の支援制度を設けている場合もあります。自治体のウェブサイトなどで情報を収集します。

卒業までの総額を見据えた計画の重要性

大学にかかる教育費は、入学金と4年間の授業料だけではありません。年間数十万円から百数十万円にも及ぶ学費以外の費用も、卒業までの総額に含めて計画を立てることが、安心して学生生活を送るために不可欠です。

大学入学前にある程度の資金を準備しておくことはもちろん重要ですが、入学後の収入(奨学金、アルバイト、仕送り)と支出のバランスを常に把握し、必要に応じて計画を見直していく柔軟な対応も求められます。

お子様と教育費について話し合い、かかる費用や収入の見込みを共有し、協力して計画的に準備を進めることが、教育資金に関する不安を軽減し、希望する進路を応援することに繋がります。

まとめ

大学の学費以外にかかる費用は、教材費、交通費、生活費など多岐にわたり、自宅外通学の場合は特に大きな負担となります。年間数十万円から百数十万円が必要となるこれらの費用を、卒業までの総額として見込み、計画的に準備を進めることが重要です。

奨学金や教育ローン、大学や自治体の支援制度など、利用できる様々な制度や情報があります。これらを活用し、お子様との協力のもと、具体的な収入・支出計画を立て、賢く教育資金を管理していくことが、将来の経済的な安定にも繋がるでしょう。