高校生のお子様を持つ親へ 今から間に合う大学資金準備の具体策
はじめに:高校生の今だからこそ見直したい大学資金計画
お子様が高校生になられた保護者の皆様におかれましては、大学進学にかかる費用について、漠然とした、あるいは具体的な不安を感じていらっしゃるかもしれません。大学の学費に加え、受験費用、入学費用、そして仕送りや生活費など、必要な資金は多岐にわたります。
「もっと早くから準備しておけばよかった」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。高校生の段階からでも、効果的な資金準備や家計の見直し、利用できる制度の活用など、今だからこそできる具体的な対策は多く存在します。
この記事では、高校生のお子様を持つご家庭が、大学進学に向けて今から取り組める教育資金準備の具体策について解説します。限られた時間の中で、どのように資金を計画し、負担を軽減していくか、具体的な方法をご紹介いたします。
大学進学にかかる費用の全体像を再確認する
今から対策を始めるにあたり、まずは大学進学にかかる費用の全体像を改めて把握することが重要です。主な費用項目は以下の通りです。
- 受験費用:
- 入学検定料(一般選抜、共通テスト利用など受験方式や併願数によって変動)
- 交通費、宿泊費(遠方の場合)
- 滑り止め校への入学金(入学しない場合でも支払いが必要なことがあります)
- 入学費用:
- 入学金
- 初年度の授業料(前期分など)
- 施設設備費、その他納付金
- 教科書代、教材費
- パソコン、周辺機器購入費
- 引越し費用、敷金・礼金、家具家電購入費(一人暮らしの場合)
- 在学中の費用(年間):
- 授業料(後期分など)
- 施設設備費、その他納付金
- 教科書代、教材費
- 通学費
- 生活費(食費、光熱費、通信費、雑費など)
- サークル活動費、交際費
- 実家からの仕送り(一人暮らしの場合)
これらの費用は、国公立か私立か、文系か理系か、自宅通学か一人暮らしかによって大きく変動します。文部科学省や日本学生支援機構(JASSO)などの信頼できる情報源で、最新の平均的な金額を確認し、お子様の進路希望を踏まえた具体的な目標金額を設定することが第一歩となります。
今からできる具体的な家計見直しと節約術
高校生の期間は、大学入学まで残りわずか数年です。短期間で効果を出すためには、戦略的な家計の見直しと節約が不可欠です。
固定費の見直し
毎月決まって支出される固定費は、一度見直せば継続的な効果が期待できます。 * 通信費: スマートフォンやインターネット回線の契約プランを見直す。格安SIMへの変更なども検討できます。 * 保険料: 加入している生命保険や医療保険、学資保険などの内容を確認し、現在の家族状況や将来計画に合っているか、無駄がないかを確認します。 * サブスクリプションサービス: 利用していない定額サービスを解約します。 * 住宅関連費: 可能であれば、住宅ローンの借り換えなども検討の余地があるかもしれません。
変動費の削減
日々の生活の中での支出を意識的に減らす努力も重要です。 * 食費: 外食や惣菜の頻度を減らし、自炊中心にする。まとめ買いや旬の食材活用で工夫します。 * 水道光熱費: 節水を心がけたり、暖房や冷房の設定温度を適切に管理したりします。 * 被服費・交際費: 必要最低限にし、衝動買いを控えます。
家族で取り組む節約意識
お子様にも大学進学には費用がかかること、そしてそのために家計の協力が必要であることを伝え、家族全体で節約に取り組む意識を共有することが大切です。お子様自身がお小遣いやアルバイト代の使い方を考えるきっかけにもなります。
短期間での集中貯蓄
ボーナスやその他の臨時収入が入った際は、可能な限り教育資金としてまとめて貯蓄に回します。数年後には必要となる資金であるため、元本割れのリスクが少ない預貯金などを中心に考えることが一般的です。
活用できる国の教育支援制度と教育ローン
高校生の段階で利用を検討できる公的な支援制度や、緊急時の資金調達手段として教育ローンがあります。
奨学金制度
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、大学等に進学する際に多くの学生が利用を検討します。特に高校在学中に申し込む「予約採用」は、進学後の手続き負担を減らし、早い段階で受給の目処を立てられるため、積極的に検討すべきです。 * 給付型奨学金: 経済的な理由で進学が困難な学生に対し、返還不要の奨学金が支給されます。世帯収入や資産の要件があります。 * 貸与型奨学金: 卒業後に返還義務のある奨学金です。無利子の第一種と、有利子の第二種があります。
予約採用の申請は高校を通じて行うのが一般的です。募集時期や手続きは高校によって異なりますので、早めに高校の進路指導室などに相談することをお勧めします。
高等教育の修学支援新制度
この制度は、給付型奨学金と授業料・入学金の減免がセットになった支援です。世帯収入や資産の要件を満たし、学ぶ意欲のある学生が対象となります。支援額は世帯収入に応じて異なります。高校生のお子様がいるご家庭は、制度の概要とご自身の家庭が対象となりうるかを確認することが重要です。申請はJASSOの給付型奨学金と同時に行うことが多いです。
国の教育ローン
日本政策金融公庫が扱う「国の教育ローン」は、幅広い世帯が利用できる教育資金融資制度です。学校等に入学・在学するお子様お一人につき350万円以内(一定の要件を満たす場合は450万円以内)を借り入れることができ、金利が固定で保証制度も利用できるのが特徴です。入学資金は入学前にも借り入れが可能です。
民間の教育ローン
銀行や信用金庫などが提供する教育ローンです。国の教育ローンと比較して、融資限度額が大きい場合や、様々な返済プランがあるなどの特徴があります。ただし、金利は変動金利の場合が多く、審査基準も金融機関によって異なります。複数の金融機関の情報を比較検討することが重要です。
教育ローンは借金であり、将来的な返済計画をしっかりと立てる必要があります。安易な借り入れは避け、必要な金額を慎重に検討することが大切です。
今から始める教育資金計画の立て方
限られた期間で効率的に資金を準備するためには、明確な計画が必要です。
- 目標金額の設定: お子様の希望する進路(国公立/私立、自宅通学/一人暮らしなど)に基づき、必要な費用の概算を行います。学費だけでなく、受験費用、入学費用、仕送りなども含めて現実的な金額を設定します。
- 現状の把握: 現在手元にある教育資金(預貯金、学資保険など)を確認します。
- 不足額の算出: 目標金額から現在の資金を差し引いて、あといくら必要か把握します。
- 月々の積立額の設定: 不足額を大学入学までの期間(〇ヶ月)で割って、毎月いくら積み立てる必要があるかを算出します。
- 家計の見直しと実行: 算出した積立額を捻出するために、前述の家計見直しや節約を実行します。ボーナスなどを活用した集中貯蓄も計画に含めます。
- 制度・ローンの検討: 不足額が大きい場合や、一時的にまとまった資金が必要な場合は、奨学金や教育ローンの活用を検討します。どの制度をどの程度利用するかを具体的に計画に落とし込みます。
- 定期的な見直し: 計画通りに進んでいるか、お子様の進路希望に変更はないかなどを定期的に確認し、必要に応じて計画を修正します。
まとめ:焦らず、着実に、計画を進める
高校生の段階から大学資金の準備を始めるのは、決して遅すぎることはありません。現状を正確に把握し、現実的な目標を設定し、具体的な家計の見直しや節約を実行することで、必要な資金を着実に準備することが可能です。
また、国の支援制度や教育ローンなど、利用できる選択肢を正しく理解し、賢く活用することも負担軽減につながります。
ご夫婦でしっかりと話し合い、お子様ともコミュニケーションを取りながら、家族全体で教育資金計画に取り組んでみてください。焦らず、一歩ずつ着実に計画を進めることが、将来の安心に繋がります。この記事でご紹介した内容が、皆様の教育資金計画の一助となれば幸いです。