我が家の大学費用はいくら?具体的な計算ステップと無理のない貯蓄計画
我が家の大学費用はいくら?具体的な計算ステップと無理のない貯蓄計画
高校生のお子様をお持ちの親御様にとって、大学進学にかかる費用は大きな関心事であり、同時に不安の種となることも少なくありません。大学でかかる費用は、進学する大学の種類(国公立か私立か)、学部、自宅から通うか一人暮らしかなど、様々な要因によって大きく変動します。
「我が家の場合は結局いくらくらい必要なのだろうか」「どのように準備を進めれば良いのだろうか」といった具体的な疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。この記事では、ご自身の家庭状況に合わせて大学費用を具体的に計算するステップと、その計算結果を踏まえた無理のない貯蓄計画の立て方について解説します。
大学費用を考える上で把握すべき主な要素
大学で必要となる費用は、大きく分けて「受験費用」「入学費用」「在学中の費用」に分けられます。これらの費用は、以下の要素によって変動します。
- 大学の種類: 国公立大学か、私立大学か。私立大学の場合は、文系か理系か、医歯系かなどによって学費が大きく異なります。
- 通学方法: 自宅から通学するか、一人暮らしをするか。一人暮らしの場合は、家賃や生活費が別途かかります。
- 学部・学科: 特に私立大学では、文系学部に比べて理系学部や医歯系学部の学費が高くなる傾向があります。
- その他: 受験にかかる交通費や宿泊費、入学後に必要となる教科書代、課外活動費、アルバート代などがかかります。
これらの要素を考慮に入れながら、我が家の大学費用を具体的に計算していくことが重要です。
我が家の大学費用の具体的な計算ステップ
大学費用の目安を把握するためには、まず進学先の可能性をいくつか想定し、それぞれにかかる費用を積算してみることから始めます。
ステップ1:想定する進学先のケースを設定する
お子様の興味や成績などを考慮し、可能性のある進学先のパターンをいくつか設定します。例えば、以下のようなケースが考えられます。
- ケースA:国公立大学(自宅通学)
- ケースB:私立大学・文系(自宅通学)
- ケースC:私立大学・理系(自宅通学)
- ケースD:国公立大学(一人暮らし)
- ケースE:私立大学・文系(一人暮らし)
複数のケースで計算しておくことで、将来の選択肢に対する費用の影響を具体的に理解できます。
ステップ2:ケースごとの学費・入学金目安を調べる
設定したケースに基づき、各大学の種類の学費と入学金の目安を調べます。信頼できる情報源としては、文部科学省の調査結果や日本学生支援機構(JASSO)のデータなどがあります。
(例:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」やJASSO「学生生活調査」などを参照)
- 国公立大学の目安(年間授業料+入学金):約82万円〜110万円程度(入学初年度、地域や大学により差があります)
- 私立大学の目安(年間授業料+入学金):
- 文系:約110万円〜130万円程度(入学初年度)
- 理系:約140万円〜160万円程度(入学初年度)
- 医歯系:約300万円〜500万円以上(入学初年度)
※上記はあくまで目安であり、大学や学部によって大きく異なります。
ステップ3:学費以外の費用目安を積算する
学費・入学金以外にも、以下のような費用がかかります。これらの費用もケース別に積算します。
- 自宅通学の場合: 教材費、交通費、課外活動費、アルバイト代(収入)、お小遣いなど。(年間数十万円程度を想定)
- 一人暮らしの場合:
- 上記の費用に加え、家賃、食費、水道光熱費、通信費、家具・家電購入費など。(年間100万円〜150万円程度を想定。地域により変動が大きいです)
- 入学時に敷金・礼金などの初期費用も数十万円程度必要になります。
- 受験費用: 受験料(1校あたり3万円程度)、交通費、宿泊費など。(複数校受験する場合、数十万円かかることもあります)
ステップ4:卒業までの合計費用目安を計算する
ステップ2とステップ3で積算した費用を合計し、大学卒業(通常4年間)までの費用総額の目安を計算します。
合計費用目安 = (入学金 + 年間授業料) × 4年間 + 在学中のその他費用 × 4年間 + 受験費用 + (一人暮らしの場合は初期費用)
例えば、私立大学・文系に自宅から4年間通う場合の目安を計算すると、以下のようになります。
- 入学初年度:入学金(約25万円)+授業料(約90万円)+その他費用(約30万円)=約145万円
- 2年目以降(3年間):授業料(約90万円)+その他費用(約30万円)=約120万円 × 3年 = 約360万円
- 受験費用:約30万円を想定
- 合計費用目安:約145万円 + 約360万円 + 約30万円 = 約535万円
これはあくまで計算例です。複数のケースで計算し、最も費用がかかるパターンも把握しておくと安心です。
ステップ5:現在の教育資金貯蓄額を確認する
現在、お子様の教育資金として準備できている金額(学資保険の満期金、別途積み立てている貯蓄など)を確認します。
ステップ6:不足額を計算する
目標とする合計費用目安から、現在の貯蓄額を差し引いて、不足する金額を計算します。
不足額 = 合計費用目安 - 現在の教育資金貯蓄額
不足額を踏まえた無理のない貯蓄計画の立て方
不足額が把握できたら、お子様が大学に入学するまでの残り期間で、その不足額をどのように準備していくかの計画を立てます。
月々の目標貯蓄額を計算する
まず、不足額を大学入学までの残り月数で割ることで、毎月積み立てるべき金額の目安を計算します。
月々の目標貯蓄額 = 不足額 ÷ 大学入学までの残り月数
高校生のお子様の場合、大学入学まで1年〜3年程度かと思います。残り期間が短いほど、月々の負担額は大きくなります。
家計を見直し、貯蓄に回せる資金を捻出する
月々の目標貯蓄額を達成するために、家計の見直しは不可欠です。
- 固定費の見直し: 通信費(携帯電話料金やインターネット)、保険料、サブスクリプションサービスなど、毎月定額で支払っている費用を見直します。より安価なプランへの変更や、不要なサービスの解約などを検討します。
- 変動費の見直し: 食費、水道光熱費、レジャー費など、月によって変動する費用を抑える工夫をします。外食を減らす、無駄な買い物を控える、節電・節水に取り組むなどが考えられます。
- 特別費の見直し: 旅行や大型家電購入など、一時的に大きな支出となる特別費の計画を見直したり、優先順位を検討したりします。
具体的な家計の見直しや節約術については、当サイトの別の記事でも詳しく解説していますので、そちらもご参照ください。
利用できる制度や支援策を検討する
教育資金の準備や負担軽減に役立つ公的な制度や支援策があります。
- 奨学金制度: 日本学生支援機構や各自治体、民間の育英団体などが運営しています。給付型(返済不要)と貸与型(返済必要)があります。
- 高等教育の修学支援新制度: 要件を満たす学生に対し、授業料・入学金の減免と給付型奨学金の支給が行われます。高校生のお子様がいるご家庭は、対象となるか確認することが重要です。
- 教育ローン: 国の教育ローン(日本政策金融公庫)や民間の金融機関が提供しています。不足額を一時的に借り入れる選択肢となります。
これらの制度はそれぞれ利用条件や申請方法が異なります。お子様の成績や家庭の収入状況などを踏まえ、利用できる可能性のある制度について情報収集し、申請準備を進めることが大切です。
資産運用による準備も視野に入れる
リスクを理解した上で、NISAやつみたてNISAなどを活用した資産運用も教育資金準備の一つの方法となり得ます。ただし、運用には元本割れのリスクがあるため、運用期間やリスク許容度を考慮し、慎重に検討する必要があります。短期で必要となる資金には向かない方法です。
計画実行のためのポイント
教育資金の準備計画は、一度立てたら終わりではありません。
- 夫婦で情報を共有する: 教育資金に関する不安や計画内容について、夫婦で定期的に話し合い、共通認識を持つことが重要です。
- 定期的に見直す: 家計状況や、お子様の進路希望の変化などに合わせて、計画も柔軟に見直します。
- 専門家への相談も検討する: 不安が大きい場合や、より詳細な計画を立てたい場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家への相談も有効です。
まとめ
大学費用に対する不安を軽減するためには、まず「我が家の場合、どれくらいかかるのか」を具体的に把握することが第一歩です。今回ご紹介したステップで費用を計算し、不足額を明確にすることで、漠然とした不安が具体的な準備目標へと変わります。
目標額が定まれば、家計の見直しや利用できる制度の検討、計画的な貯蓄といった具体的な行動に移すことができます。計画通りに進まないこともあるかもしれませんが、定期的に見直しを行いながら、お子様の将来のための教育資金準備を進めていきましょう。